財団学友 松隈(旧姓 片岡)舞さんからのお便り

財団学友 松隈(旧姓 片岡)舞さんより近況報告のお便りが届きました。

2015~2016 年にグローバル補助金をいただき、イギリス、マンチェスター大学の修士課程に留学いたしました。前回の近況報告では、大学院卒業後に 1 年間経験したアメリカの国際 NGO、カーターセンターでの日々をご紹介いたしました。

その後は、オリエンタルコンサルタンツグローバルという民間の開発コンサルタント会社に入社し、約 2 年半、西アフリカのコートジボワールで国際協力機構(JICA)の平和構築のプロジェクトに携わりました。
コートジボワールでは、過去に政権争いに起因する内戦が起きており、2011 年の大統領選挙後には、コートジボワール最大の経済都市であるアビジャンでも戦闘が起こりました。
この紛争時には、一般市民も多く紛争に巻き込まれました。実際に現地で調査を行っている際によく聞いた話では、騒乱中に兵士がきて、敵対勢力側の民族を探しにきたり、近隣住民を敵対民族であると告発したり、それに起因した殺し合いが行われました。
この騒乱は数か月で落ち着き、その後の2015 年の大統領選挙も紛争が起こることなく終結し、表面上は平和が保たれています。

 

しかし、調査で騒乱が激しかったエリアの住民に話を聞いてみると、いまだに他の近隣住民に対する不信感を持ち続けている人々がたくさんいることがわかります。青少年非行や犯罪などを特定の民族がやっているなどという噂や偏見も多く、中には「自分の両親を殺した民族は信用できない」と言う人もいます。
コートジボワールのアビジャンという都市は、日本人が想像するアフリカのイメージとは違い、中心地では高層ビルも多く、フランスの元植民地であることもあり、非常に発展しています。一見、紛争の問題はすべてなくなったかのようにみえる平和な街の風景ですが、過去に起きた紛争での経験は人々の心に根強く残っています。

 

 

アビジャンでの私の仕事は、人々が信頼を取り戻すために、民族や宗教などの違いを超えて、交流し、お互いを理解することができる機会を作ることです。
この目的を達成するためのアプローチは様々ですが、私が従事していたプロジェクトでは、地方分権を管轄する省庁と、市役所に対する技術協力という形で、市役所が住民の交流を促進する、または市役所自身が住民と積極的に交流していくことを目指しています。
具体的には、市役所主導で、民族長や宗教指導者、女性団体のリーダーなど、様々なアイデンティティを持つ住民の代表を集めた住民委員会を設立し、住民間の対話と相互理解を促進するとともに、住民が市役所に要望を届ける機会を創出しています。
実際には、様々な課題があり、常に理想通りにプロジェクトが進んでいくとは限りません。
しかし、課題にぶち当たるたびに、現地スタッフや省庁、市役所の職員と話し合いを重ね、日本人の私の感覚だけでは得られないような気付きがあり、とても刺激的です。

 

現地での生活は、仕事は省庁内に間借りしているオフィスを拠点に、週に数回~多いときは毎日、中心地から少しだけ離れたフィールドに出て、住民会合を開催したりします。
住民や現地の公務員との協議はすべてフランス語であるため、現地スタッフに英語に訳してもらうこともありますが、通訳なしでも理解できるようになるべく、仕事終わりにフランス語のレッスンを受けたりしています。
プライベートでは、奇抜で魅力的なアフリカ布を買いに市場に行ったり、仕立て屋さんでワンピースをオーダーしたり、オープンエアーの炭火焼き屋でご飯を食べたり、ときには奮発して高級フレンチに行ったり、少し遠出してビーチに行ったり、アフリカの太鼓(ジャンベと呼ぶ)のレッスンを受けたり、充実した日々を過ごしています。

 

私のような民間のコンサルタントは出張の形で現地での業務を行うため、日本と現地を行ったり来たりすることが多く、私も現地に 2~3 か月滞在した後、日本に数週間~数か月滞在するというサイクルを繰り返しています。
仕事の話だけをすると、紛争など怖いイメージが付いてしまうかもしれませんが、コートジボワール人は愉快で、素直な人が多い印象です。
もちろん、国民性について一概に言うことは難しいですが、他のアフリカ諸国で出会った人々と比較してみても、喜怒哀楽の表現が素直な人が多いと感じます。
スーパーのレジ打ちのお姉さんや、渋滞にはまったタクシーの運転手はたいていわかりやすく不機嫌で、彼ら特有の舌打ちを連発しますし、逆にコートジボワールがサッカーの試合で勝ったときには、ドログバ選手にあこがれるサッカー好きの若者は道路上に飛び出てきてダンスを踊りながら全力で喜んだりもします。
そんな彼らと楽しさや嬉しさを共有できることはまたとない喜びですし、2020 年の秋には再び大統領選挙がやってきますが、彼らが安全の下で喜怒哀楽を表現し続けられるように、平和な社会であってほしいと願います。

 

今回は、約 2 年半関わってきたコートジボワールでの仕事についてご紹介いたしましたが、2020年 3 月で私はプロジェクトを離れ、5 月からは国連開発計画(UNDP)のチュニジア事務所で国連ボランティア(UNV)として働いています。
これまでの経験を生かし、社会統合および紛争予防に関連する事業のプログラム・アナリストとして1年間従事する予定です。新型コロナウイルスが流行している影響で、日本にいながら遠隔で勤務を行なっています。
チュニジアはイスラム圏ですが、フランス語も広く話されています。
落ち着いたら現地に渡航する予定ですので、大学院での知識やコートジボワールでの経験を活かし、新たな文化圏で働くのを楽しみにしています。

 

茅ヶ崎中央ロータリークラブのみなさまも、例会の開催など大変な時期があったと思います。
留学後は、海外での仕事の期間が多く(またその予定が前広に確定せず)、お話しする機会がなかなか持てませんでしたが、みなさまの変わらず精力的な活動を陰ながら応援しております。チュニジアに渡航する前にはみなさまに直接近況報告をできる機会を作れたらと願っております。

今後とも、よろしくお願いいたします。

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